著書「44の人生の漢字」ではタロットカードの「大アルカナ」の象意を漢字一文字に置き換えて人生のことを物語風に書きました。
タロットの起源は15世紀半ば、ボニファーチョ・ベンボというアーティストがイタリア、ミラノのビスコンティ家のために描いた特別な「絵」だと言われています。
現在のトランプの元の4つのスート(剣=スウォード(スペード)、棒=ワンド(クラブ)、聖杯=カップ(ハート)、金貨=コイン(ダイヤ))からなる14枚のカードと22枚の特別なカードの合計78枚の「絵」でした。
ボニファーチョがどうしてこのような「絵」を思いついたのかさまざまな説がありますが、カール・ユングの考えにもあるように「人間の心には基本となる霊的な元型があって、それによって構造化されている」ということが一番しっくりきます。
ニュートンは林檎が木から落ちるのをみて「重力」を思いつきました。
どんなジャンルでも、最初はどこからともなく発見や発明、アイディアが降りてくるものです。
そしてその発見がこの世界(次元)で通用するのかどうか、検証や裏付けが後から意識的に行われて理論が確立されていくのです。
タロットカード78枚のうち14枚の4種スートからなる56枚を小アルカナデッキ、特別な22枚を大アルカナデッキと呼びます。
略して「小アルカナ」「大アルカナ」です。
長らくタロットは主にギャンブルやゲーム用に、一部だけ占いに使われていました。
20世紀に入って「黄金の夜明け団」という秘密結社のメンバーだったアーサー・エドワード・ウェイトが画家のパメラ・コールマン・スミスに描かせたタロットがイギリスのライダー・パック社から1910年発売されることになります。
ウェイト版タロットの誕生です。
現在ではポピュラーなウェイト版ですが、それまでとは違った「絵」もあり当時は批判も浴びたようです。
人間が成長していくようにタロットの元型も進化していってもおかしくはないのですが、オカルティストだったウェイトは儀式的な魔術からは距離をおいていました。
見えない世界を深く知っていたからこそ、慎重であったのではないかと思っています。
(参照:「タロットの書」レイチェル・ポラック著)
「44の人生の漢字」は「大アルカナ」22枚の正位置と逆位置に漢字を一文字割り当てましたが、カードとしては22枚です。
22枚のうち3次元で起こるネガティブなことを解りやすく表しているカードが4枚あります。
13番「死神」
15番「悪魔」
16番「塔」
18番「月」
になります。
「大アルカナ」には預言的な要素もあって1番「魔術師」から始まって21番「世界」で完了し、0番「愚者」からまた1つ上の次元に旅立つ流れになっているのですが、ご興味がありましたら「44の人生の漢字」をご覧になってください。

ネガティブなカードの番号をみると13番から続いていますが14番と17番が抜けています。
この14番と17番のカードこそ、ネガティブな状況を抜けていく鍵なのです。
14番「節制」
17番「星」
になります。
「44の人生の漢字」に割り当てた13番以降の漢字一文字は次のようになります。
13番「死神」正位置「止」逆位置「動」
14番「節制」正位置「育」逆位置「浪」
15番「悪魔」正位置「魔」逆位置「解」
16番「塔」 正位置「壊」逆位置「破」
17番「星」 正位置「望」逆位置「絡」
18番「月」 正位置「迷」逆位置「透」
19番「太陽」正位置「福」逆位置「失」
20番「審判」正位置「真」逆位置「恨」
21番「世界」正位置「完」逆位置「未」
0番 「愚者」正位置「発」逆位置「捨」
正位置ではカードの本来の意味、逆位置は正位置との陰陽関係になります。
わかりやすい3番「女帝」は大ラッキーカードで正位置は「豊」、逆位置は「怠」になります。
「豊か」であることの逆は「貧乏」ではなく「怠ける」になります。
タロットカードの深いところです。
さて、象意はいくつもあるのですが代表的なものをあげます。
まず、ネガティブなカードの最初は13番「死神」です。
「死神」はすべてを停止させようとします。
やる気を失い虚無につつまれ生きる力を失っている状態になります。
15番「悪魔」はあらゆる誘惑になります。
金欲(お金)、性欲(恋愛)、名誉欲(地位)、それらが手に入りそうな状況です。
でも方法が間違っているので、後から「悪魔」に代償を払うことになります。
16番「塔」はいきなり破壊に見舞われます。
築いてきた地位やプライド、仕事や財産も崩れていく状況です。
18番「月」は混沌(カオス)です。
良いものが良く見えず、悪いものが良く見えてしまう。
そこには罠が隠されていて陥ってしまう危険な状況です。
これらは人生(人類)の雛形なので全くこのような経験がなく人生を終える人はいません。
ネガティブを通じて人は進化していくのです。
でもそれが大きいか小さいか、長いか短いかはその人の日頃の生き方によるのです。
13番「死神」は正位置「止」ですが、逆位置「動」です。
止まっているものを動かすには別なエネルギーが必要です。
15番「悪魔」は正位置「魔」ですが、逆位置「解」です。
「魔」を「解く」にも別なエネルギーが必要です。
それは13番「死神」と15番「悪魔」の間にある14番「節制」になります。
14番「節制」は「育」です。
あらゆるモノをポジティブに育てる力(エネルギー)です。
「育」の陰陽関係は「浪」になります。
ムラ(浪)があっても「育む」エネルギーは放出しつづけています。
ときに「やる気」のなさに襲われ、ときに「誘惑」に目を向けてしまっても、そんな経験をしながら自身を育てているのです。
とくに「誘惑」は自分の身の丈にあっているか、あとから責任をとれるのかを考えます。
「悪魔」はそのときは姿をみせないので解りにくいのですが、不安な要素がないか考えるとき「節制」が自身を育てているのです。
そして欲を退けて楽になっていくのです。
16番「塔」は正位置「壊」、逆位置でも「破」です。
どっちにしても何かが破壊されます。
逆位置の方が回復が早いだけです。
18番「月」は正位置「迷」、逆位置は「透」です。
モクモクとした霧の中で「迷」ってしまっているのか、霧が「透」けて来ていれば全容が見えてきます。
16番「塔」以外は、逆位置の意味を行うことができればネガティブは去ります。
でも前述したように陰陽関係になっているので何か別なモノが介入しないと抜け出せない場合が多いのです。
「死神」と「悪魔」に対しては「節制」がその働きをします。
「塔」と「月」に対しては「星」がその働きをします。
17番「星」は正位置「望」、逆位置「絡」です。
14番「節制」と17番「星」のカードの不思議に関してはまた別途書きたいと思っていますが、「節制」は不安を取り除く働き、「星」は希望を見つける働きを主にします。
「パラレルワールド新しい地球」に書きましたが未来への二極化は「不安」より「希望」が大きいか、なのです。
https://nakagawaayuki.com/?p=5256
17番「星」は正位置「望」で逆位置「絡」でした。
「希望」=「理想」は、机上の空論のようになって人間関係(あらゆる組織や団体など)が「絡む」おそれがあります。
「星」の逆位置です。
「望」は「欲」より遠いものです。
現実の象徴である「塔」が破壊され、何が正しいのか解らない混沌とした「月」の世界に「望」を見つけることが「星」の働きです。
それは「星に願いを」に近いものです。
13番「死神」正位置「止」逆位置「動」
14番「節制」正位置「育」逆位置「浪」
15番「悪魔」正位置「魔」逆位置「解」
16番「塔」 正位置「壊」逆位置「破」
17番「星」 正位置「望」逆位置「絡」
18番「月」 正位置「迷」逆位置「透」
19番「太陽」正位置「福」逆位置「失」
20番「審判」正位置「真」逆位置「恨」
21番「世界」正位置「完」逆位置「未」
0番 「愚者」正位置「発」逆位置「捨」
コロナ19は16番「塔」のように、現実世界に大きな破壊をもたらしました。
現在18番「月」の状態で、まだ霧の中でもがいている人と、少し霧が透けてきて本当のことが見えてきている人がいます。
地デジや新聞にはない知識や情報をたくさんの方たちが探して勉強して、そして発信しています。
それはまさに「月」の正位置「迷」から逆位置「透」に向かう状態です。
でもそこには必ず未来への不安より希望が勝っていないとなのです。
それが17番「星」の示す「望」になります。
そしてその後、大きな分岐点にいる私たち人類は、
19番「太陽」の「福」、20番「審判」の「真」、そして21番「世界」の「完」に向かいます。
14番「節制」と17番「星」の身近な象意は、「お母さん」と「友人」です。
お母さんのような母性豊かな大きな愛で自身にまつわる物事を育ててみようとする気持ちと行い、
そして、互いを理解し合うことができる友人と笑って過ごせる時間、
それらを大切に「混沌」(カオス)の中を渡っていくのです!