<タロットの不思議とアセンション>No.56

初めてタロットを手にしたのは中学生の時だった。
とても不思議な感覚だった。(「サイン」<願望実現とシンクロニシティ2>No.30参照)
タロットには寓意画が描かれていて、それぞれに深い意味があるのだが、その中でも特に時間の謎が描かれている10番「運命の輪」と21番「世界」のカードについて述べていきたいと思う。

一躍脚光を浴びた「ノストラダムスの大予言」をまず、思い出してほしい。
1973年から出版された五島勉氏(1929年蠍座生)の「ノストラダムスの大予言」シリーズはご存じの方も多いだろう。シリーズは全部で10も続いたが、「1999年の7の月…」のあまりに有名なテクストがその時に何も起こらなく過ぎたので段々と注目が薄れて忘れられてしまった。私も出版と同時にシリーズをすべて読んでいたが、残念ながらもう手元にない。
現在、日本でのノストラダムス研究の第一人者は池田邦吉氏(1947年水瓶座生)であろう。
2007年8月、池田氏の講演を拝聴に行った。解読したテクストが当たる当たらない以前に、池田氏のスピリチュアルな生き方と、とても情熱的で真面目なお人柄に感銘を受けた。
海外の第一人者は、ルーマニアからアメリカに亡命したヴライク・イオネスク博士(1922年牡羊座生‐2002年没)であろう。著書の「ノストラダムス・メッセージ」、「ノストラダムス・メッセージ」竹本忠雄氏訳を所有している。
「ノストラダムス・メッセージ」には、日本の進路を示す素晴らしいテクストが解読されているので、話しは逸れるが、1つ紹介したい。

<ノストラダムス「諸世紀」第8章27歌>
二重橋孤の影の路、
此(こ)を往くを潔しとせず、ひとり、
騎馬の荒武者は — 荒寥(こうりょう)のこの砂漠に。
天皇の宸筆(しんぴつ)、これぞ不死鳥、
余人には見えず — ただひとり、映りてこそあれ、かの者の目に。

<解読略>
「二重橋孤」は宮城県の有名な水もに映る二重橋で日本のシンボルと思われる。
原爆による唯一の犠牲国、日本にたいして予言者は深い憐れみのこもった関心を寄せているが、敗戦によって「荒寥の砂漠」と化したこの国が「天皇の宸筆」こと玉音放送をきっかけに「不死鳥」として奇跡的復活をとげる光景に驚異の目を見張っていた。
ノストラダムス大予言のあの有名なテクストは、

<ノストラダムス「諸世紀」第10章72歌>
紀元1999年7月(ななつき)に
天から一人の恐怖の大王が到来するであろう。
しかして、アンゴルモワの大王をよみがえらせ、
(その到来の)前後に火星は幸いの時を君臨するであろう。

7月は「しちがつ」ではなくて「ななつき」と解釈し、「過ぐる7月のちに」の省略形で「8月はじめに」ということらしい。詳しい解説は省くが、これはノストラダムスの技法の一つで、1999年にフランスで起こった皆既日食1999年8月21日のことを歌っている。
さて、この1999年8月21日の天体図は、
獅子座18度21分において太陽と月が重なり、対中の水瓶座14度の天王星、両脇90度は、牡牛座16度の土星、蠍座16度の火星、となり、天に大十字(グランドクロス)を描く。
その他、獅子座0度の水星、水瓶座2度の海王星、牡牛座4度の木星でもT字クロスが形成されていた。天体間のエネルギーが拮抗しながら緊張している配置であり、不運で困難な意味が極めて強い。

獅子座、水瓶座、牡牛座、蠍座はフィックスドサイン(不動宮)(詳しくは、HP本文、西洋占星学12のサイン参照)と呼ばれるクォリティーで持続性が強い。
牡牛座は春真っ盛り、獅子座は真夏、蠍座は秋真っ盛り、水瓶座は真冬で、西洋ではそれぞれの季節の一番の盛りの時期を表し、東洋では季節の節入り時期に一致する。
太陽が牡牛座入りして牡牛座の真ん中の5月5日前後(その年によってずれる)は「立夏」、獅子座の真ん中8月7日前後は「立秋」、蠍座の真ん中11月7日前後は「立冬」、水瓶座の真ん中2月4日前後は「立春」(節分)になっている。
さらに付け加えると、西洋では、カーディナルサインである牡羊座、蟹座、天秤座、山羊座は、始まりを表していて、牡羊座入りする3月20日前後は「春分」、蟹座入りする6月21日前後は「夏至」、天秤座入りする9月23日前後は「秋分」、山羊座入りする12月22日前後は「冬至」になる。
この8つが宇宙の方向(シルバーアクセサリ、ハートスピリットのデザインもです)となり、さらに気学や易経に出てくる、乾(けん)、兌(だ)、離(り)、震(しん)、巽(そん)、坎(かん)、艮(ごん)、坤(こん)の8卦となっている。この8卦が2つ合わさると64卦となる。

占いは西洋も東洋も元は同じなのだ。ただとらえ方がHP本文にも書いたが、西洋は人間中心の内面からのアプローチ(心理分析)に適し、東洋は地球中心の外側からのアプローチ(風水や方位なども)を中心に発展してきた違いがあるだけである。
タロットはもちろん西洋中心に扱われてきたものなので、その寓意図には西洋占星学的啓示が数多く含まれている。

ノストラダムスの1999年7月の歌は、8月11日の皆既日食の時期を表していた。
歌に詠まれた「恐怖の大王」の現実的な意味は謎のままであるが、多次元においては、紐解かれているのであろう。牡牛座、獅子座、蠍座、水瓶座は西洋においてはそれぞれの季節の真っ盛りであり、東洋においては季節の始まりである。
水瓶座は美少年ガニメデの「人間の姿」で、蠍座は1930年に現在の88の星座に整理されるまで、「鷲」に例えられていた。
タロット10番「運命の輪」と21番「世界」のカードには牡牛、獅子、鷲、人間の4つが四隅に描かれている。

私のアセンション的解釈では、
「10.運命の輪」(10.WHEEL of FORTUNE)−『時間という概念。過去—現在—未来の多次元性』
「21.世界」(21.THE WORLD)−『太一の世界。陰陽融合調和。完成。』である。

タロットの大アルカナは全部で22枚あるが21番が最高位であり、最後は0番になる。
「0.愚者」(0.FOOL)−『新たなる境地。未知への循環』
64卦を扱う易経では、
1番「乾為天」(けんいてん)−『創造力』、に始まり、
63番「水火既済」(すいかきせい)−『完成美』、に終わり
64番「火水未済」(かすいびせい)−『流転やまず』と廻る。
最高位の完成の後には、必ず新たな始まりが待っているのだ。

「10.運命の輪」は、自分が予期しない偶然やチャンスが転機となる意味を持つ。
現実的なことを占う場合は、引っ越しや転職には大変良いカードだ。
運命が助けてくれる象なので例えば、「好きな彼と駅でばったり会えたので、初めて話しができた」となる。ただし、駅でばったり引き合わせてくれるのは「10.運命の輪」の作用だが、彼に話しかけられるかどうか(チャンスをものにできるかどうか)は、自分次第である。

「10.運命の輪」に牡牛座、獅子座、蠍座、水瓶座が描かれていることの意味は、可能性を秘めた時間的な狭間が降ってくるということである。時間を活性化して動かしていけることであり、それを機運、チャンスと呼ぶ。ちなみに「10.運命の輪」がリバース(逆位置)すれば運気は、下降していくことになり、チャンスを逃す意になる。

タロットの最高位である「21.世界」(21.THE WORLD)にも牡牛座、獅子座、蠍座、水瓶座が描かれている。アセンション的解釈では、「太一の世界。陰陽融合調和。完成」2013年をピークに2063年(「サイン」<アセンションカルマの昇華 No.46参照)までに、新たなワールドが形成されていくのである。

予言的に謎めいて恐ろしい新約聖書「ヨハネの黙示録」にもこの4星座(鷲、蠍、獅子、人間の顔、牡牛)が災いの象徴として登場しているので、手持ちの聖書から抜粋してみよう。

『ヨハネの黙示録』啓示8より
また、彼が第七の封印を開いた時、約半時間のあいだ天に静寂が起こった。
………(中略)………
そして第一の者がラッパを吹いた。すると、血の混じった、雹と火が生じ、それが地に投げつけられた。すると、地の三分の一が焼き尽くされ、樹木の三分の一が焼き尽くされ、みどりの草木のすべてが焼き尽くされた。また第二のみ使いがラッパを吹いた。すると、火で燃える大きな山のようなものが海に投げ込まれた。すると、海の三分の一が血になった。………また、第三のみ使いがラッパを吹いた。……大きな星が天から落ちた。………多くの人がその水のためにしんだ。…(略)…また第四のみ使いがラッパを吹いた。
すると、太陽の三分の一が強打され、月の三分の一と星の三分の一が強打された…(略)…またわたしが見ると、中天を飛ぶ一羽の「鷲」が大声でこう言うのが聞こえた。
「災い、災い、地に住む者たちには災いだ!……」…(略)…
『ヨハネの黙示録』啓示9より
また、第五のみ使いがラッパを吹いた。すると、わたしは天から地に落ちた星を見た。
…(略)…「さそり」が人を襲うときの責め苦のようであった。…(略)…
顔は「人間の顔」のようであったが、女の髪のような毛があった。そして歯は「ライオン」の歯のようであり、………、また、彼らには尾と「さそり」に似た針があり、…(略)…
そして、第六のみ使いがラッパを吹いた。すると、神の前にある黄金の祭壇の角(雄牛と思われる)の間から出る一つの声が、ラッパを持つ第六のみ使いにこういうのが聞こえた。………(略)………

「ヨハネの黙示録」は先のノストラダムスのテクスト同様、謎に満ちている。
神のみ使いがラッパを吹くと、不吉なことがいろいろ起きているが「21.世界」の前は「20.審判」である。
「20.審判」(20.JUDGEMENT)−『DNAの覚醒。内なる宇宙から創造主へコンタクト』
「20.審判」は、天上で天使がラッパを吹いて、死人が蘇っている寓意図である。
「ヨハネの黙示録」とタロットの終盤の「20.審判」から「21.世界」へ続くものは同じ物語なのかもしれない。

「21.世界」の寓意図は、四隅に牡牛、獅子、鷲(蠍)、人間の顔(水瓶)を配した世界の中心にさらにリースの中に裸身の女性が躍動している。
これは、時間を超越した世界(次元)、この3次元物質世界が実は多次元であったことを表している。
「21.世界」は、単にラッキーな状況とリーディングしてしまいがちだが、実はとても危険で難しい要素がある。なぜなら、今いる世界が完成してしまっているとしたら、次の世界に行かなくてはならないからだ。
次の世界がスパイラルアップしているかどうかは、本人の意識次第なので定かではない。