<ゴルゴ13に学ぶ1>No.4

漫画と言うより劇画というジャンルを確立させた「ゴルゴ13」(1968年〜現在まで38年間連載)の生みの親、さいとうたかを先生(1936年蠍座生まれ)は蠍座生まれである。さいとう先生の作品から蠍座A型かな、と予測した勘は当たっていた。
作風から星座を当てたもう1つは、「ルパン三世」(1967年〜2年間連載)の生みの親、モンキー・パンチ先生(1937年双子座生まれ)である。モンキー・パンチ先生は双子座の象意そのものである兄弟の名称であり、おまけにAB型であった。

ゴルゴ13と同様、ルパン三世も平気で人を殺す。宮崎駿先生(1941年山羊座生まれ)によって映画化された「ルパン三世 カリオストロの城」(1979年作品)はあまりに有名であるが(宮崎駿先生については後述詳しく)、本来モンキー・パンチ先生が生み出した「ルパン三世」とは異なっており、本来の「ルパン三世」は非情で乾いていて双子座特有のブラックユーモア溢れる作品であった。

「ゴルゴ13」には、蠍座特有の運命の非情さや在り得ないような神仕組みが仕込まれている。そして根底には計り知れない重い情念があり、決して乾いていない。「ゴルゴ13」にはいろいろなことを学ばせてもらった。たくさんありすぎて何から書いていいのか判らないほどであるが、まずは最新の別冊ビックコミック(2007/10/13)号から「ラストグレートゲーム」で紹介しよう。

この作品は、9.11テロから数ヶ月後のイラク戦争に至るまでのフランスとアメリカの石油利権の水面下の闘争が描かれている。もちろん物語なので、真実に近いかどうかなんて関係ない。「ゴルゴ13」の最大の特徴は、「人の生き方」が問われるものが多いことである。「ラストグレートゲーム」の主人公はアルジェリア人でありながら、母国アルジェリアを裏切り、フランスの石油産業に貢献したが今度はフランスに裏切られて、アメリカに利用される羽目になる。

このアルジェリア人の主人公は、たまたま海を漂流していたゴルゴ様の命を救う。ゴルゴ様が、傷が回復するまでお世話になっているところにフランスの殺し屋部隊がやってくる。フランスのために貢献したがゆえに、知りすぎている主人公を口封じに来たのである。もちろんゴルゴ様に、全滅させられてしまう。しかし次にフランスに不利な証言が欲しいアメリカが捕まえにやってくる。ここで主人公は自らアメリカに捕まりに行ってしまう。アメリカ側はフランスに不利な証言を利用してそれをイラク攻撃の理由に使う魂胆であった。

しかしここで「人の生き方」が問われることが起きる。主人公は決してフランスに不利な証言をしなかったのである。

歴史を紐解けば明らかなこともあろうが、この主人公はアルジェリア独立運動(1954年〜1962年)の際、アルジェリアを裏切ってフランス側についた「アルキ」と呼ばれる者であった。停戦後「アルキ」はフランスがアルジェリア側の国民解放戦線に差し出した生け贄にされたとある。本当かどうかは別としても、元同胞が憎み合い、闘争の怒りの捌け口になる。これは、「やられたらやり返す」が高じ、「殺されたら殺す」終わりなき破壊の図式である。

アルジェリアを裏切ってフランス側についた結果、元同胞アルジェリア人に家族を殺された過去を持つ主人公であるが、今度は貢献したフランスに殺されそうになったのである。
「裏切ったら裏切られるのである」日常でも、小さなレベルで起きていることである。

そしてフランスに裏切られた主人公が最後に取った行動は、フランスを裏切らなかったのである。アメリカに捕らえられて黙秘をし続けた結果、フランスに不利な証言を得られないアメリカはイラク戦争(石油利権争い)に9.11テロ感情を利用して勃発した。フランスは命拾いしたのである。
その後、「フランス大統領がアルジェリアを公式訪問し独立戦争で戦死したアルジェリア人の墓地に献花し、アルキの犠牲はフランスが招いた悲劇だったと初めて詫びた。」という結末で「ラストグレートゲーム」は終わる。

アルジェリア人の主人公はフランスに「復讐」できたのに「復讐」しないで「謝罪」させたのである。
このすさまじい「運命変更」が、お解かりであろうか…

最後には、「裏切ったら裏切り返す」をしなかった結果である。終わりなき破壊を止めた。
「ゴルゴ13」の物語には蠍座特有の運命論があり、神仕組みや奇跡が、歴史の中に潜まれていて、読み応えがある。